お釈迦さまの教えに関係がある土地・建物の布施-5
2013(平成25)年12月15日
於 浄心庵精舎
〜 後 半 〜
後半は「何を布施すればよいか?」という説法をします。
お釈迦さまに関係がある土地・建物などの住む場所を布施したら、すべての善い結果を得ると、相応部経典《有偈篇》42「何を布施すればよいか?経」(Saṃyuttanikāyo Sagāthāvaggo42 Kiṃdadasuttaṃ)で、お釈迦さまは説かれました。
何を布施すればよいか?
1.
Kiṃda balado hoti,
何を布施する人が、
力を与える人になりますか?
Annado balado hoti
食べ物・飲み物を布施する人は、
力を与える人になります。
食べ物・飲み物とは、ご飯、野菜、果物、お菓子、お水、ジュース、薬などです。食べ物・飲み物が十分に食べられないとき力は出ません。食べ物・飲み物を布施すれば、布施を受け取った人はふさわしい食べ物・飲み物を摂り身体に栄養がまわって力を得ます。力とは、身体の力、智慧の力です。布施者にも、この食べ物・飲み物を布施する功徳の原因によって、身体の力、智慧の力が必ず得られます。
2.
kiṃdado hoti vaṇṇado
何を布施する人が、
容色(善い姿形)を与える人になりますか?
Vatthado hoti vaṇṇado
身体に身につけるものを布施する人は、
容色(善い姿形)を与える人になります。
身体に身につけるものとは、衣、服、ブランケット、毛布、布団、タオル、マフラーなどです。身につけるものが揃わず粗末な服しかないときには姿形は醜くなります。身につけるものを布施すれば、布施を受け取った人は自分のふさわしい服を身につけて、身だしなみを整え善い姿形を得ます。身につけるものによって暑さ寒さを守ることができるので、心身ともに元気になって容色、姿形が善くなります。布施者にも、この服などの布施の功徳の原因によって自分の容色、姿形が善くなります。
3.
Kiṃdado sukhado hoti
何を布施する人が、
楽を与える人になりますか?
Yānado sukhado hoti,
乗り物を布施する人は、
楽を与える人になります。
乗り物の布施をパーリでは、Yānadānā といいます。乗り物の布施とは、旅行する人が困らないように、傘、杖、靴、ベッドや椅子、車や電車などの切符を布施することです。道路を直したり、きれいに整えたり、橋をかけたりすることも、Yānadānā という乗り物の布施に入っています。このような乗り物の布施をすれば、布施を受け取った人は、どこにでも心身共に楽に行くことができます。布施者にもこの布施の功徳の原因よって、どこにでも心身共に楽に行くことのできる善い結果が顕れます。
4.
kiṃdado hoti cakkhudo;
何を布施する人が、
眼を与える人になりますか?
dīpado hoti cakkhudo.
ランプなどの明かりを布施する人は、
眼を与える人になります。
ランプなどの明かりを布施すれば、布施を受け取った人は、夜暗くなっても、このランプで物が見えて、瞑想したり勉強したりすることができます。この、暗闇(暗い所)に光を与える布施の原因によって、布施者は自分の眼の物質・肉眼である
Pasādā cakkhu
眼淨色〈淨眼〉
も善くなります。それだけではなく、
ñāṇa cakkhu
智慧の眼〈智眼〉
を得る結果も顕れます。人間であれば、自分の肉眼も善く、自分の智慧も増大して、智慧の眼も善くなったら、とても幸せです。この2つの眼は大事なことです。だから、ランプ、ろうそく、電気代、メガネなどの布施をしてください。
5.
Ko ca sabbadado hoti,
何を布施する人が、
すべてを与える人になりますか?
So ca sabbadado hito,
yo dadāti upassayaṃ;
住む土地、建物、お寺などの
住む場所を布施する人は、
力・容色(善い姿形)・楽・眼の
すべてを与える人になります。
建物の中に住むとき、暑さ寒さ、風や雨の心配もなく心身ともに楽に住んで、楽に瞑想することができます。建物の中に住むとき、太陽の光も強すぎず、目にちょうどよい柔らかい光を得ることもできます。夜になって暗くなっても、明かりをつけて見るべきものを見ることができます。このように住む土地・建物、お寺や精舎などの住む場所を布施する人は身体の力、智慧の力、容色、よい姿形、心身の楽、肉眼、智慧の眼というこれらすべての善い結果を与える人になります。そして布施する人にも、この住む土地・建物の布施の功徳の原因によって、すべての善い結果を得ることができます。
最後にお釈迦さまは次のよう教えられました。
(次号へ続く)