ニャーヌッタラ大長老の説法
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6月の満月の日に説かれた「大集会経」-1

2016(平成28)年6月20日
於 満月のウポサタ淨心庵精舎での朝の法話

今日は6月の満月、ウポサタの日です。

6月の満月の日は、お釈迦さまが、マハー サマヤ スッタという「大集会経(だいしゅうえきょう)」を説かれた特別な日です。

「マハー」は大きな、「サマヤ」は神々・梵天の集まる会、「スッタ」はお経、という意味で「大集会経」と訳されています。

2560年前から現在に至るまで、今日のような6月の満月の日には、比丘サンガたちをはじめ、在家信者の方々が、お寺に集まって「大集会経」を唱えます。

このお経についてのさわりを少し話します。

賑やかな大きな森

お釈迦さまが5番目の安居に入られる前の6月の満月のウポサタの日、カピラヴァットゥ国のカピラ城近くのマハーワナという大きな森は、とても賑やかで、めでたく、喜びに満ちていました。

その森の中にお釈迦さまは住んでおられました。500人の阿羅漢比丘サンガたちもお釈迦さまの近くに、お釈迦さまから教えを受け取りながら瞑想して、住んでいました。

その様子を知られた一万世界の神々・梵天たちが、お釈迦さまと500人の阿羅漢の比丘サンガたちの徳と恩を感じ、自分たちの目で実際に見て説法をお聴きするために、それぞれの世界から森に降り立って来ました。

淨居天の4人の梵天は遅れて来る

お釈迦さまと500人の阿羅漢比丘、そして一万世界の神々・梵天が大集合しているとき、梵天界の中で、阿羅漢である淨居天の四人の梵天は入果定から出た後、梵天の世界を見渡しました。

すると周りの梵天の姿が見あたりませんでしたので、「梵天たちはどこへ行ったのか」と観察すると、お釈迦さまの近くで神々・梵天の大集会があることを知りました。

「この会は神々・梵天の大集会である。しかし私たちはこちらに残っている。これから大集会へ行っても、すでに神々・梵天でいっぱいなので場所を得るのは難しい。このような状況で、私たちが何もお土産を持っていかないのは良くないので、一人一人が一つの偈文を準備して行きましょう。このお土産偈文を唱えることで、大集会の神々に、私たちが向かうことを知らせましょう。そしてお釈迦さまの徳と恩を賞賛した偈文を唱えましょう」

と考えました。

阿羅漢聖者である4人の梵天たちは相談し、一人一人の偈文を準備して、1番目の梵天は東の世界から降り、2番目の梵天は南の世界から降り、3番目の梵天は西から、4番目の梵天は北から降り立って、それぞれに偈文を唱えました。

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