お釈迦さまの聖髪がミャンマー国に奉納された由来-2
2023(令和5)年7月3日
於 淨心庵戒壇
二人の兄弟のお布施を初めて受け取る
この二人には過去に縁のあった天の神から「この地に仏陀が出現したので供養するように」との声が聴こえたので、お食事の供養をしようと思いました。
しかし、食事を作る時間がないので、自分が持ってきた蜂蜜と粉を練り合わせたものと麦菓子を持って仏陀に近づきました。
そして礼拝をし「仏陀と成られた尊いお釈迦さま、私たちのためにどうぞこの食べ物をお受けください。そして私たちが長寿と安楽が得られますように」と言って供養を捧げようとしました。その時お釈迦さまは鉢が無く、過去の諸仏は手で物を受け取ることはしないので、どの様に受け取るかを考えておられました。その時四大天王(東西南北の守り神)がそのことを知り、お釈迦さまに石の鉢を捧げました。お釈迦さまはその石の鉢で供養を受けられ、その供物を召し上がられました。そしてその後、ふさわしい説法をなさいました。
最初に二帰依を受けた二人の兄弟
その時この二人は、お釈迦さまの説法を信じて、このブッダ(仏)とその教えダンマ(法)だけが真に頼るべき事であると確信し、
「エーテー マヤアン バンテ
バガヴァンタン サラナン ガッチャーマ
ダンマン サラナン ガッチャーマ」
尊師よ。私たちは、ブッダ(仏)を拠り所として、帰依いたします。 お釈迦さまが説かれた、ダンマ(法)を拠り所として、帰依いたします。 私たちを今日はじめとして、ウパーサカという優婆塞(男性在家信者)として受容してください。
と唱えるとき、お釈迦さまは沈黙で認められました。それから、この二人の兄弟は、世界において初めて、ブッダ(仏)・ダンマ(法)に二帰依をしたウパーサカという優婆塞(男性在家信者)となりました。
その時はブッダとダンマだけでしたので、このミャンマー人の二人の兄弟は、世界で初めて「ドゥエー ワーシカ・サラナガマナ(二帰依を受けた二人)」になりました。その時期は、比丘サンガはまだ現れませんでした。その時期を「二帰依の時代」といいます。
お釈迦さまの代わりに尊敬すべきものを乞われる
二人の兄弟は、ブッダ(仏)・ダンマ(法)に二帰依をした後、お釈迦さまのところから離れる前に、「ミャンマー国へ帰った後も、お釈迦さまを尊敬して礼拝したい」と念じ思い、お釈迦さまの足許に尊敬礼拝して、次のように頼みました。
「尊いお釈迦さまよ。私たち二人が、ミャンマーに帰っても、お釈迦さまを毎日尊敬するべきために、私たちを憐れんで、どうぞブッダ・ダンマの代わりに尊敬礼拝する印の物を、慈悲をもって一つお恵みください」とお願いしました。
その時お釈迦さまは、長い目で見られて、将来・未来において、世界に真理(法)が伝わることを善く観察・洞察されたので、ご自分の頭を右の手で触(さわ)られて、触(ふ)れられている時、自分の手に引っ掛かった八本の聖髪(髪の毛)を二人の兄弟の手に与えました。
(続く)