ニャーヌッタラ大長老の説法
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お釈迦さまの聖髪がミャンマー国に奉納された由来Ⅱ-1

2023(令和5)年7月3日
於 淨心庵戒壇

「二帰依の時代」 と
「三帰依の時代」

二帰依の時代

お釈迦さまが35歳の時、正覚を得てブッダに成られたB.C.589年5月の満月のウポサタの日から約二カ月の間を「二帰依の時代」と言います。

お釈迦さまは、覚りを得て、ブッダに成ったばかりの七週目の49日目に、インド・ブッダガヤの菩提樹の近くにあるレンロンという樹の下にお座りになられていました。その時、タプッサ(Tapussa)という兄とバッリカ(Bhallika)という弟の兄弟は、牛車でミャンマー国のウッカラーパ・ザナパダという町からマッジマデーサというインドの中部地方に商売をするために来ていました。その途中、樹の下で瞑想をされている仏陀と成られたお釈迦さまにお会いしたのです。この二人が、お釈迦さまと最初に出会うことは幸福です。お釈迦さまが正覚後、まだ、誰ともお会いする前、まず最初に、この二人がお会いしました。

二人の兄弟は、「この地に仏陀が出現したので供養するように」という天界の神の声にしたがって、仏陀と成られたお釈迦さまに近づき、礼拝して、蜂蜜と粉を練ったものと麦菓子の供養を捧げました。お釈迦さまは石の鉢で供養を受けて召し上がられた後、ふさわしい説法をなさいました。説法をお聴きした二人は、このブッダ(仏)とその教えダンマ(法)だけが真に頼るべき事であると確信し、

エーテー マヤアン バンテ
バガヴァンタン サラナン ガッチャーマ
ダンマン サラナン ガッチャーマ

尊師よ。
私たちは、ブッダ(仏)を拠り所として、帰依いたします。

お釈迦さまが説かれた、ダンマ(法)を拠り所として、帰依いたします。

私たちを今日をはじめとして、
ウパーサカという優婆塞うばそく(男性在家信者)として受容してください。

と唱えるとき、お釈迦さまは沈黙で認められました。それから、この二人の兄弟は、世界において初めて、ブッダ(仏)・ダンマ(法)に二帰依をしたウパーサカ(Upāsaka)という優婆塞(男性在家信者)となりました。
その時はブッダとダンマだけでしたので、このミャンマー人の二人の兄弟は、世界で初めて「ドゥエーワーシカ・サラナガマナ(Dvevācika saraṇagamana、二帰依)」を受けた二人になりました。

その時期は、比丘サンガはまだ現れていませんでした。その時期を「二帰依の時代」といいます。

お釈迦さまの聖髪がミャンマー国に奉納された由来Ⅰ「二帰依の時代」の概要は以上です。

(続く)

お釈迦さまは右手で八本の聖髪(髪の毛)をタプッサとバッリカの兄弟の手に与えました。
二人の兄弟は、世界において初めて、ブッダ(仏)・ダンマ(法)に二帰依をした優婆塞(男性在家信者)となりました。

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