ニャーヌッタラ大長老の説法
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お布施について(最終回)

2017(平成29)年8月18日 午前7時30分
於 淨心庵精舎瞑想堂

5.聖者は布施するとき 相手をけなさない

聖者の布施のやり方の5番目は、聖者たちは布施するとき、布施者同士に相手をけなさない。相手と比べないで、自分のできる布施を心を込めて布施します。布施の結果でふさわしい結果が得られますが、布施するとき相手をけなし、相手と比べて布施すれば、この布施の結果で得る財産は、1つの原因で破れる可能性があります。

ある人は、お金も財産もあります。生活もできます。しかし、ある日強盗に遭い、またある日は、地震や津波、台風などの自然災害に遭い、またある日には、火災などの原因でお金や財産、家などが無くなりました。時どき、悪い息子や娘が親の財産をわからないように、泥棒のように、盗って使い全部なくなりました。

これらの原因で、自分の財産などを、心身共に元気で使うことはできませんでした。心は苦しみです。これは何の原因ですか?

過去世において、布施するとき相手と比べて、相手をけなして布施すれば、布施の原因で得る財産について危険があります。布施するときは、相手と比べないで、相手をけなさないで、善い心をもって、喜びの心で、正直な心で布施する。そうすれば、布施の原因で得る財産・物は、心身共に困らないで使うことができます。そのような人は、財産について心身共に元気で使うことができます。

相手と比べるとは「あの人くらい私も布施できます」と、自分を誇って、慢の心で布施する。
相手をけなして行う布施とは「私は布施できました。あの人は布施できない」と非難する。

このような心は善い心ではありません。だから相手をけなさないで、相手とも比べないで、正直な心で、喜びの心で、自分にできる布施をしたら幸せです。この結果が布施の波羅蜜になって世界の結果をもたらします。そして、出世間、輪廻解脱、涅槃に至るまで善い結果をもたらします。

だから布施するときも布施の仕方があるので、普通な布施にならないように、特別な布施の波羅蜜になるように、自分のできる布施を心を込めて、皆さんもヴィパッサナー智慧を解っているから、ヴィパッサナー智慧を具えて布施してください。

輪廻の中で、動物・餓鬼・人間・神々など、どんな所に生まれても、生活ができるように支えるのは、布施の功徳の結果です。

例えば、神々になっても布施の結果は大事なことです。神々の中でも貧乏な神々は立派ではない。
住む場所・建物も容姿も立派ではない。布施の功徳が完璧な神々ほど、住む場所・建物も容姿も立派です。動物になっても動物の巣・動物のえさを得るためには、布施の功徳の結果です。だから、布施は大事なことです。瞑想だけでは足りない。瞑想も布施も両方行うのがとても良いです。

布施するときには布施のやり方、お釈迦さまの教えに従って布施すれば、少しの布施でも結果は得られます。簡単に普通な布施をすれば普通な結果を得ます。

特別な心で特別な「聖者たちの5つの布施のやり方」を解って布施したら、特別な功徳を得ます。

だから三帰依も三帰依のような、戒律も戒律のような、禅定も禅定のような、ヴィパッサナー瞑想もヴィパッサナー瞑想のような、実践法があります。

このお釈迦さまの教えを解るために、耳で聴くのは大事なことです。こちらで瞑想するセヤードーの説法を聴く人は、少しずつセヤードーが教えたから布施のやり方も解りました。三帰依も解りました。戒律も解りました。サマタ サマーディ禅定についても解りました。ヴィパッサナー サマーディ、ヴィパッサナー瞑想についても解りました。これは皆さんのカルマです。

ある人は説法を聞く時間がほとんどないので何も解らない。今回の宿泊瞑想会に参加された瞑想者の皆さんは、前から瞑想は慣れています。礼拝、三帰依、戒律についても説明したので慣れています。

今期宿泊瞑想会では布施を中心になって教えました。「布施について」の説法は今日で最後です。

それでは今10分の説法は15分になりました。布施については以上です。それでは礼拝しましょう。

(次号へ続く)

お釈迦さまの教えが伝わるために、特別高貴なお布施

お釈迦さまの教えが伝わるために、
特別高貴なお布施

バッダンタ・ウ・ニャーヌッタラ大長老(写真左)がミャンマー国立仏教大学でご教授をされていた時代、学生であられたお弟子様の博士バッダンタ・ウ・コーヴィダ長老(写真右)は、三宝の偉大なる大恩師へ尊敬合掌礼拝されて、特別な衣のお布施を鄭重に捧げ(マッジマパティパダー通信No102p.3)、ご挨拶されました。2019年4月30日には、日本にお釈迦さまの教えを伝えておられる大恩師を訪ねてご来庵されました。大恩師の日本でのご活躍に随喜され、三宝と師の大徳大恩を念じて、尊敬合掌礼拝して、淨心庵「シーマー(戒壇)・仏塔建立」のお布施として10,000ドルをカッピア(比丘に相応しくなるようにお世話する人)をとおして捧げられました。

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